砂の器でどれが一番おすすめかについて教えてください。
このような声にお応えして参考となる記事をご用意しました。
こちらの記事では砂の器のシリーズはどれが一番おすすめかについて解説しています。
記事の内容を見ていただくだけで砂の器を更に楽しめますよ。
リメイク作品は多いけどどれが一番いいのかな。
砂の器はどれが一番?1974年の映画化作品がおすすめ
砂の器において一番おすすめなのはズバリ1974年に公開された1本目の映画化作品です。
おすすめの理由は以下の通りです。
以下でそれぞれ解説します。
①豪華キャスト陣が出演しているから
1974年版の「砂の器」には、松本清張氏の長編小説の映画化ということで豪華キャストが出演しています。
- 丹波哲郎さん
- 森田健作さん
- 加藤剛さん
- 加藤嘉(よし)さん
- 渥美(あつみ)清さん
- 笠智衆(りょうちしゅう)さん
といった名だたる俳優陣が勢ぞろいです。
監督は野村芳太郎(よしたろう)さん、脚本には橋本忍さんと山田洋次さんも参加しており、制作陣にもかなりの気合が入っていることがわかりますね。
当時の映画界の実力派が揃っていたんですね。
②「宿命」というテーマ曲がすばらしいから
1974年版の「砂の器」の特におすすめポイントは「宿命」というテーマ曲です。
小説の中でもこの曲は重要なポイントでしたが、実際に楽曲として制作されたのはこの映画が初めてでした。
正式には「ピアノと管弦楽のための組曲『宿命』」と名付けられたこの曲は、原作者の松本清張氏も絶賛するほどのできばえです。
砂の器にはさまざまな登場人物が出てきますが、最も激しく複雑な感情を抱いているのは事件を起こした「犯人」である和賀英良(わがえいりょう)でした。
この人物の「感情と事情」こそが映画の大筋であり重要なテーマでもありましたが、この人物は劇中でそのことについては一言も語りません。
もちろん、和賀自身も社会生活をおくるための会話はしていましたし、他人とも関わるのですが、いたって冷静で時には冷徹で、その内面をうかがい知ることはできませんでした。
それを映画では、代わりにすべて音楽と映像によって表現していたのです。
さらに映画で用意された映像は観客に対してのものであり、犯人にとって「想いのすべて」は楽曲や音楽に込められていた、というのがこの作品の大きなポイントです。
それが伝わったからこそ、原作者の松本清張氏もこの作品において特に音楽が素晴らしいと評価したのでしょうね。
③父と子の旅をじっくりと描いたから
1974年版の「砂の器」のおすすめポイントは、父の千代吉と息子の秀夫の旅が後半40分にもわたってじっくり描かれていることです。
故郷を追われた父の千代吉が6歳の息子の秀夫を連れて、あてもなく日本各地を旅します。
それは四季折々の厳しくも美しい風景とともにあり、衣食住もままならない極限の旅ながら、親子が強い絆で結ばれている様子が伝わってきました。
ところがある土地で、三木謙一に助けられたことから、千代吉と秀夫の運命は大きく変わっていくのです。
これらの様子が和賀英良が演奏する「宿命」と共にじっくりと描かれていき、父と子の愛情に多くの観客の心は揺さぶられたのでした。
さらに刑事の今西が事件の真相を捜査会議で語るシーンもはさまれるため、観ている側としては親子への同情や事件の真相に対する驚きなど、さまざまな感情が入り混じってきます。
原作小説では6ページほどの表現でしたが、映画では大胆に40分もかけて「父子の旅」「宿命」「今西の語り」の3部構成で描き切ったことが大きなインパクトとなり話題になりました。
砂の器はどれが一番?リメイク作品全5本を紹介
砂の器のリメイクは1本目の映画化作品を除くと以下の5本あります。
1974年の映画版を除くと中居君が出演した2004年版のリメイクが比較的人気です。
以下でそれぞれ解説します。
①1977年版
1977年に1時間枠で全6回ドラマとして放送されました。
その後も1985年に再編集してドラマSPとして放送されたり、松本清張さんが亡くなった1992年には追悼番組として放映されました。
和賀 英良(わが えいりょう)の父である本浦千代吉の設定は、ハンセン病から精神病に変更されています。
刑事の今西を仲代達矢さん、和賀英良を田村正和さんが演じました。
精神病という設定に変わったんですね。
②1991年版
1991年のリメイクドラマは全1回で放送されました。
本浦千代吉はハンセン病患者ではなく、罪を犯して息子の和賀英良(当時は本浦秀夫)と逃亡を続けていましたが、駐在巡査だった三木謙一に自首したという設定に変更になりました。
刑事の今西を田中邦衛さん、和賀英良を佐藤浩市さんが演じました。
③2004年版
全11回で放送され、平均視聴率は19.6%でした。
本浦親子の放浪の理由が以下のように変更になりました。
千代吉が集落の中で唯一ダム工事の投票に賛成票を投じたといういわれなき理由で村八分にされたことで、妻の急病時に医師から診療を拒否され病死したことに激怒し、村中の家に放火し26人を殺害したためという設定でした。
刑事の今西を渡辺謙さん、和賀英良を中居正広さんが演じました。
④2011年版
2011年に2夜連続で放送され、視聴率は第1夜が16.6%、第2夜が13.1%でした。
刑事・吉村弘の視点で描かれているのが特徴的です。
親子の放浪理由は以下のように変更になりました。
千代吉が殺人容疑で逮捕され、証拠不十分で釈放されたものの村人からの疑惑の目に耐え切れず息子を連れて放浪の旅に出たという設定でした。
刑事の今西を小林薫さん、和賀英良を佐々木蔵之介さんが演じました。
⑤2019年版
2019年にフジテレビ開局60周年ドラマとして放送されました。
平均視聴率は11.1%、瞬間最高視聴率は12.1%でした。
父の本浦千代吉が殺人犯という設定になっています。
刑事の今西を東山紀之さん、和賀英良を中島健人さんが演じました。
その後のリメイク作品が1974年「砂の器」を超えられない理由
砂の器は1974年以降もリメイク作品が多く発表されましたが、どうしても1本目を超えられないと考えられています。
それは「宿命」という曲のすばらしさにもありますが、父の千代吉の設定を変えざるをえないからという理由もあります。
原作小説や1本目の映画化作品においては父の千代吉はハンセン病であるという設定でした。
しかし、「ハンセン病患者への差別や偏見を広めかねない」といってハンセン病患者団体から抗議を受けたため、その後のリメイク作品ではハンセン病という設定は使えなくなってしまいました。
そのため父の千代吉の設定を精神病や大量殺人犯などに変えたリメイク作品が放送されましたが、原作との違いが大きすぎてどうしても物語としての重みがなくなってしまったのです。
砂の器の映画化は1本目しか認めない、というファンの方もいるようですので、1974年版がいかに評価が高かったのかがわかりますね。
砂の器はどれが一番おすすめか?に関するQ&A
砂の器はどれが一番おすすめか?に関するQ&Aは以下のとおりです。
以下でそれぞれ詳しく解説します。
①砂の器のドラマは?
砂の器はこれまでに7回ドラマ化されています。
- 朝日放送で1962年に全2回
- フジテレビで1977年、1991年、2004年、2019年に各1回
- テレビ朝日で2011年に1回
制作されました。
各局がリメイクしているんですね。
②砂の器が放送できない理由は?
砂の器が放送できない理由は、ハンセン病を扱っているからです。
1本目の映画化の際、ハンセン病への偏見や差別を広げかねないという理由でハンセン病患者団体からの抗議を受け、松本清張さんの遺族たちが「今後ハンセン病を扱う作品を放送しない」と決めました。
⇩砂の器を放送できない理由は以下の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。
③砂の器に中居君は出ている?
2004年のリメイクドラマ版において、犯人の和賀英良を演じたのが中居正広さんでした。
天才ピアニストという設定でした。
⇩中居君版砂の器の最終回については以下の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。
④砂の器は泣ける?
砂の器は泣けます。
特に父と子の絆を感じさせる旅を描いた場面では、周りに冷たくされながらも2人きりでお互いを思いやっている様子に涙が止まらない方も多いようですね。
⑤砂の器のリメイクはひどい?
砂の器のリメイク作品では父の本浦千代吉がハンセン病だという設定が各作品ごとに変わっており、それが「ひどい」といわれている原因のようです。
精神病であったり殺人犯であったりと設定はさまざまですが、どれもテーマとしてハンセン病ほどの重みがないため原作や1本目の映画化作品のファンの方がたにとっては物足りなく感じたようですね。
⇩砂の器のリメイクがひどいことに関しては以下の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。
⑥砂の器の歴代キャストは?
主要人物の歴代キャストは以下の通りです。
刑事の今西栄太郎役ー丹波哲郎、仲代達矢、田中邦衛、渡辺謙、小林薫、東山紀之
刑事の吉村弘役ー森田健作、山本亘、伊原剛志、永井大、玉木宏、野村周平
犯人の和賀英良役ー加藤剛、田村正和、佐藤浩市、中居正広、佐々木蔵之介、中島健人
⑦砂の器はおかしい?
砂の器はおかしいといわれる点もあります。
今西刑事の勘が鋭すぎたり、血の付いたシャツの処分の仕方がロマンチックすぎるという理由でおかしいといわれてしまうようですね。
⇩砂の器がおかしいことは以下の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。
⑧砂の器の名シーンは?
名シーンはやはり和賀英良が「宿命」を演奏する場面です。
自分の過去や人生に対する思いを全てこの曲にぶつけて表現しているため、言葉にならない感情が観客にもひしひしと伝わってきます。
聴いているだけで泣けるという方も多かったようですね。
砂の器はどれが一番おすすめか?のまとめ
砂の器はどれが一番おすすめか?について解説しました。
最後に簡単にまとめると、以下の通りです。
- 1974年版がおすすめ
- 豪華キャスト
- 「宿命」というテーマ曲がすばらしい
- 父と子の旅が長く描かれている
- その後のリメイク作品は1974年版を超超えられない
砂の器シリーズにおいて1974年の映画化作品は最初で最後の最高傑作といわれています。
原作に忠実にハンセン病という設定を描いた唯一の映像作品でもありますので、是非チェックしてみてください。
砂の器のあらすじは以下の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。