砂の器が実話かどうかについて教えてください。
このような声にお応えして参考となる記事をご用意しました。
こちらの記事では砂の器が実話かどうかについて解説しています。
記事の内容を見ていただくだけで砂の器を更に楽しめますよ。
実話なのかな。
砂の器は実話ではない
砂の器は実話ではありません。
しかし、実際にあったことをもとにしたリアリティのある設定となっていますのでご紹介します。
以下でそれぞれ解説します。
①ハンセン病患者のお遍路
砂の器では、ハンセン病患者である父・千代吉とその息子の秀夫(のちの和賀英良)がお遍路(へんろ)に出ます。
お遍路とは、真言宗を開いた弘法大師(空海)が修行した四国八十八ヶ所の霊場をめぐる巡礼の旅のことです。
弘法大師の足跡をたどることで煩悩が取り除かれ、ご利益がもたらされると言い伝えられています。
千代吉と秀夫が旅をしたのは石川・山中町から島根・亀嵩(かめだけ)までであって四国ではないため本当のお遍路とはいえませんが、千代吉としては自分の病が少しでも良くなるようにと願をかけて歩いていたようです。
このようにハンセン病患者がお遍路をするというのは実際にあったことで、その様子は四国遍路の語り口でよく取り上げられています。
ハンセン病は当時は不治の病と恐れられていたため、治癒を願ったり、地域社会の目から逃れたりするために遍路を歩いたようですね。
そのような普段は世間から隠された人々のお遍路の様子が、砂の器で描かれたことによって多くの観客の胸に刻まれました。
実際に行われていたお遍路を映像として作品にしたんですね。
②戸籍取得
本浦秀夫が和賀英良として戸籍を取得しなおすという設定は、1982年の長崎大水害の様子をもとにしています。
作品中では戦争によって戸籍がすべて燃えたとなっていましたが、そのモデルは水害でした。
こういった戦争や災害が原因でなくなった戸籍に関しては証人なしで再製できるようなので、秀夫も和賀英良として新しい人生を送ることができたのです。
③2004年ドラマ版のモデル事件
2004年にリメイクされた中居正広さん主演のドラマ版砂の器には、あるモデル事件があります。
リメイク版では父の千代吉は「ハンセン病」の代わりに「殺人犯」という設定になりましたが、2004年版ではその犯行内容が放火でした。
本浦千代吉が村人をざん殺して村に火を放つシーンがありますが、それは大昔に実際にあった津山30人殺人事件をモチーフにしています。
この事件は、都井 睦雄(とい むつお)が民家11件に侵入、住民を猟銃や刃物で次々と襲い約1時間半の間に28名を即死させ、5名に重軽傷を負わせたものです。
都井は犯行後に自殺し、被疑者死亡で不起訴となりました。
日本が明治維新後に西洋式の近代法制を整備して以降、戦争行為を除く犯罪としては、京都アニメーション放火殺人事件が発生する2019年までの81年という長きに渡って最多の犠牲者数だった大事件です。
砂の器以外にも、横溝正史「八つ墓村」や西村望の「丑(うし)三つの村」など、多くの作品のモチーフとして使われています。
砂の器は実話ではないがリアリティがある
砂の器では、ハンセン病の父とその息子が差別を受けながら放浪するという様子が実話さながらのリアリティがあるといわれています。
作品で描かれたのは、やせ細って老人のような父・千代吉と、まだ6歳ほどの息子・秀夫でした。
行く先々で門前払いを受け、徹底的にさげすまれながら親子は何とか生き延びていきます。
砂の器で扱われたハンセン病は、世界中で長らく差別・偏見の対象となってきた病気です。
既に薬と治療法が確立して完治する病なのですが、周囲の無理解から適切な治療を受けることができず、千代吉と秀夫は迫害の旅を続けるしかありませんでした。
「砂の器」のストーリーの軸は殺人ミステリーですが、その裏にある大きなテーマは、理不尽な差別に苦しんで引き裂かれた親子の絆でした。
あまりにリアルな2人の演技は、観客に被差別者の苦しみを実感させます。
ハンセン病患者のお遍路自体は本当にあったことなので、実際に千代吉と秀夫のような親子がいたとしてもおかしくはありません。
砂の器は実話?に関するQ&A
砂の器は実話?に関するQ&Aは以下のとおりです。
以下でそれぞれ詳しく解説します。
①砂の器のあらすじは?
東京都内の蒲田駅で起きた、ある殺人事件を担当する今西刑事の地道な捜査と犯人の和賀英良の過去を描いています。
天才音楽家として活躍していた和賀英良の父がハンセン病であり、それを隠すために和賀は自分の過去を知る三木謙一を殺しました。
刑事の今西によって真相は暴かれ、コンサートで「宿命」を弾いている和賀に逮捕令状が出され物語は幕を閉じました。
自分の過去を消すための殺人だったんですね。
⇩砂の器のあらすじは以下の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。
②砂の器のリメイクはひどい?
1本目の映画化作品以外のリメイクはひどいという評判が多いです。
これは「和賀英良の父がハンセン病」という設定が変わってしまったことも影響しており、作品として深みがなくなったといわれがちです。
特に2019年にリメイクされた作品はハロウィンなども関係していたため、あまりにも現代的すぎて中身が薄いといわれました。
⇩砂の器のリメイクがひどいことに関しては以下の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。
③2019年の砂の器はひどい?
2019年に「砂の器」はフジテレビ開局60周年ドラマとしてリメイクされました。
これは2018年、ハロウィン当日の渋谷で発見されたぼく殺死体にまつわる事件を捜査する刑事・今西栄太郎が、天才作曲家の和賀英良と心理戦を繰り広げていくというストーリーでした。
- 東山紀之
- 中島健人
- 柄本明
- 土屋太鳳
というキャスト陣が話題を呼びましたが、原作の社会派ミステリーが現代版にリメイクされたことで内容が軽くなってしまっていると批判を受けました。
④砂の器の意味は?
砂の器は「つくっては壊れを繰り返す砂の器のように人の幸せは儚い(はかない)もの」という意味です。
これは映画の冒頭でもいわれているとおり、砂で作った器には、何を入れようとしても絶対に満ちることはありません。
いずれ壊れ崩れていくのが砂の「宿命」であり、和賀英良の人生と重なるような表現です。
⑤砂の器のネタバレは?
砂の器の最大のネタバレは犯人が和賀英良だということです。
殺人の動機は、自分の過去(作品によって設定が違います)を隠し通すためでした。
⇩砂の器のネタバレは以下の記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。
⑥砂の器はどれが一番?
砂の器は何度もリメイクされていますが、1974年に公開された1本目の映画化作品が一番いいと言われています。
原作に一番忠実な設定で重みのある作品に仕上がっていることや、テーマ曲に「宿命」を使った構成が絶賛され続けています。
⑦砂の器に中居君が出ている?
砂の器は2004年に中居正広さん主演でドラマとしてリメイクされています。
この作品では中居さん演じる和賀英良は天才ピアニストという設定でした。
⑧砂の器の海外の反応は?
原作が松本清張であるということから、砂の器は海外からもかなり注目されている作品です。
特に中国では広く受け入れられ、この作品が扱う「宿命」というテーマが中国社会に生きる自分たちの生き方を考え直すきっかけになったようです。
砂の器は実話?のまとめ
砂の器が実話なのかどうかについて解説しました。
最後に簡単にまとめると、以下の通りです。
- 実話ではない
- ハンセン病患者のお遍路は実際にあった
- 戸籍の取得は長崎大水害をもとにしている
- 放火事件のモデルは津山事件
砂の器はフィクションでありながら、その設定にかなりリアリティのある作品です。
ハンセン病患者が受けた差別や災害や事件の様子など、社会派で重たい内容となっていますので、気になる方は作品を是非チェックしてみてください。