砂の器のあらすじについて教えてください。
このような声にお応えして参考となる記事をご用意しました。
こちらの記事では砂の器のあらすじについて簡単に解説しています。
記事の内容を見ていただくだけで砂の器を楽しく見れますよ。
どんな物語なのかな。
砂の器のあらすじを5つのポイントに分けて解説
砂の器は松本清張の長編小説をもとにした映画です。
野村芳太郎監督、橋本忍・山田洋次脚本で1974年に公開されました。
またリメイクとして
- TBS系列で2回
- フジテレビ系列で3回
- テレビ朝日系列で2回
これまでに合計で7回テレビドラマ化され、そのたびに評判となりました。
以下、1974年に公開された映画版のあらすじを5つのポイントに分けてご紹介します。
①はじまり
6月24日の早朝、国電蒲田操車場内(列車の編成や車両の入れ換え・整備などを行う場所)で、男の殺害死体が発見されます。
被害者の男の年齢は50~60歳くらいでしたがその身元がわからず、捜査は難航しました。
前日の深夜、蒲田駅近くのバーで、被害者と連れの客が話しこんでいたことが判明しますが、被害者のほうは東北なまりのズーズー弁で話し、また二人はしきりと「カメダ」の名前を話題にしていたといいます。
当初、人の名前から連想していたため「カメダ」の手がかりはなかなかつかめませんでしたが、ベテラン刑事の今西栄太郎は、秋田県に「羽後亀田」の駅名があることに気づいたのでした。
「カメダ」が重要なキーワードのようですね。
②ヌーボ・グループと和賀英良という男
付近に不審な男がうろついていたとの情報も得て、今西は若手刑事の吉村と共に周辺の調査におもむきます。
調査の結果は満足のいくものではありませんでしたが、帰ろうとした二人は、近年話題の若手文化人集団「ヌーボー・グループ」のメンバーが、駅で人々に囲まれているのを目にしました。
「ヌーボー・グループ」はあらゆる既成の権威を否定し、マスコミの注目の的となっていましたが、メンバーの中心的存在の評論家・関川重雄の私生活には暗い影がさしていました。
一方で、ミュジーク・コンクレート等の前衛音楽を手がける音楽家・和賀英良(わが えいりょう)は、アメリカでその才能を認められ名声を高めることを考えていました。
※ミュジーク・コンクレートとは現代音楽のひとつジャンルであり、音響・録音技術を使った電子音楽の一種です。
和賀英良は優れた才能とその美しい見た目が印象的な男でした。
ある日、中央線塩山付近で夜行列車から一人の女が白い紙吹雪を窓外に散らしていました。
「紙吹雪の女」と題し旅のレポートとして紹介した新聞記者は偶然、銀座のクラブでその女に会います。
この記事が気になった吉村は早速、銀座のクラブに理恵子という女を訪ねましたが、彼女は席をはずしたまま現われませんでした。
その後、吉村は山梨県塩山付近の線路沿いをはいまわって、ついに“紙吹雪”を発見します。
なんとそれは紙切れではなく血こんの付いた布切れで、被害者と同じ血液型反応がありました。
その頃、高木理恵子は自分のアパートで愛人の和賀英良と会っていました。
和賀は最も期待されている現代音楽家で、前大蔵大臣の令嬢田所佐知子との結婚が噂されていました。
妊娠した理恵子は、子供を生ませて欲しいと頼みましたが、和賀は拒否します。
のちに理恵子は流産し、出血多量で死亡します。
そして、理恵子の愛人の和賀を尾行していた吉村は理恵子のアパートをつきとめ、彼女こそ“紙吹雪の女”であることを確認したのでした。
③「かめだけ」という駅
殺人事件の捜査は行き詰まっていましたが、養子の申し出から、被害者の氏名が「三木謙一」であることが判明します。
三木謙一の養子の三木彰吉は岡山県在住であり、謙一が東北弁を使うはずがないと話したため、今西は困惑しました。
しかし専門家からのアドバイスを受け、実は島根県出雲地方は東北地方と似た方言を使用する地域であることを知り、島根県の地図から「亀嵩(かめだけ)」の駅名を発見しました。
今西は亀嵩近辺に足を運び、被害者の過去から犯人像をつかもうとしましたが、被害者が良い人物であったことを知るばかりで、有力な手がかりは得られないように思われます。
④明らかになった犯人像
事件の謎は深まっていきますが、今西は吉村の協力をえながら苦心の捜査を続けます。
また「ヌーボー・グループ」の人間関係にも微妙な変化が進んでいました。
長い探索の末に、今西は犯人の過去を知ります。
そして捜査はやがて、本浦秀夫という一人の男にたどり着きました。
秀夫は、石川県の寒い村に生まれ、父・千代吉がハンセン病にかかったため母が去り、やがて村を追われ、やむなく父とあてもなく旅を続けていました。
秀夫が7歳のときに父子は、島根県の亀嵩に到達し、当地駐在の善良な巡査・三木謙一に保護されます。
三木は千代吉を療養所に入れ、秀夫はとりあえず手元に置き、のちに篤志家の元へ養子縁組させる心づもりでした。
しかし、秀夫はすぐに三木の元を逃げ出し姿を消します。
大阪まで逃れた秀夫は、誰かのもとで育てられていたようでした。
その後、大阪市浪速(なにわ)区付近が空襲に遭い、住民の戸籍がすべて焼けてしまいました。
当時18歳の秀夫は戸籍が焼けたことに乗じて、和賀英蔵・キミ子夫妻の長男・和賀英良として年齢もいつわって、新たな戸籍を作成していました。
⑤殺人の理由
和賀英良が天才音楽家としてマスコミに注目されたことで、三木は「本浦秀夫=和賀英良」だと気づき、上京し和賀と接触します。
三木は現在も療養中の千代吉と手紙のやりとりを行っており、千代吉が秀夫(和賀)に会いたいと願っていることを告げ、千代吉に会って欲しいと頼みました。
しかし、自分の過去が明るみに出ることがあれば、現在の生活が崩れ落ちると考えた和賀は、三木を殺害するしかないと考えます。
殺人は、和賀英良こと本浦秀夫が自身の過去を知る人間を消すためのものだったのでした。
ラストは事件のあらましを捜査本部で語る今西、自らが作曲した「宿命」をオーケストラをバックに華々しく演奏しながら指揮する和賀、そして千代吉と秀夫が送った辛い放浪の日々が重なりあう、という終わり方でした。
砂の器のあらすじの特徴
映画版ではテーマ曲として、ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」を劇的に使っていることが最大の特徴といえます。
テーマ曲のみならず、邦画の音楽費が相場100万円の時代に「砂の器」には300万円がかけられ、映画「犬神家の一族」が公開されるまでは、邦画で最も音楽にお金をかけた作品でした。
「宿命」は作品の重要なシーンやクライマックスで使われ、原作者の松本清張も「小説では絶対に表現できない」とこの構成を高く評価したようです。
砂の器のあらすじに関するQ&A
砂の器のあらすじに関するQ&Aは以下のとおりです。
以下でそれぞれ詳しく解説します。
①砂の器が放送できない理由は?
作品中に出てきた「ハンセン病」に対して偏見や差別的表現があるとして、批判を受けたことが影響しているようです。
原作者の松本清張の遺族が「以後の映像化にあたっては絶対にハンセン病を扱わないこと」と決め、それに合意したリメイクだけが制作を許可されるようになりました。
ハンセン病を扱ったからなんですね。
②砂の器はおかしい?
リメイクされるたびに設定が変わっていくため、原作小説のファンの方からすると「おかしい」という声があがっているようです。
それぞれの作品がどう違うのか見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
③砂の器はハンセン病を扱っている?
原作小説や映画版の砂の器ではハンセン病を扱っています。
特に映画ではハンセン病患者を
- シミのある土気色のメイク
- ボロボロの服
- ずらしてはめられた軍手(歪んだ手)
という形で表現したため、批判を受けました。
④砂の器は実話?
砂の器は実話ではありません。
ただ、作品の中で描かれたようにハンセン病患者がさすらいの旅に出るということは実際によくあったようです。
⑤砂の器のリメイクはひどい?
原作や1本目の映画化作品と比べると、ハンセン病というテーマを扱えなくなったためそもそもの脚本を大幅に変える必要があったため、その変化がひどいという評判になりました。
時代設定がおかしくなったり内容に深みがなくなったように感じた方が多かったようですね。
⑥砂の器には中居君が出てる?
2004年に放送されたドラマ版「砂の器」に中居正広さんが和賀英良役として出演しています。
他にもドラマ版では渡辺謙さんや松雪泰子さんなどの豪華キャストが出ていますので、是非チェックしてみてはいかがでしょうか?
⑦砂の器の小説のあらすじは映画と異なる?
原作の小説と映画のあらすじとは異なる点もあります。
特に殺人トリックの描写は原作の方が細かく、映画では登場人物たちの情や和賀英良の宿命に焦点があてられました。
また今西刑事が和賀英良の正体を暴く場面は原作では6ページだったのに対し、映画では45分という長い時間をかけて描かれたことが最大の違いです。
砂の器のあらすじまとめ
砂の器のあらすじについて解説しました。
最後に簡単にまとめると、以下の通りです。
- 「カメダ」がキーワード
- 殺人は和賀英良が自分の過去を消すためだった
- テーマ曲の「宿命」の使い方が特徴
- 原作と1本目の映画作品ではハンセン病を扱っている
砂の器は、時代を超えて何度もリメイクされている名作です。
ハンセン病とはなんなのか、当時の考え方も含めて勉強になる部分もありますので是非チェックしてみてください。